6月21日 聖アロイジオ・ゴンザガ

聖アロイジオ・ゴンザガ

母への手紙
二十三歳のアロイジオ・ゴンザガが母に送った最後の手紙。ペスト患者を看護して感染した彼は、この十一日後、死去した。

聖霊の恵みと慰めがいつも母上にありますように。お手紙は、生きる者の国(天国)で神を永遠に賛美するために出発する用意のできた私が、まだこの死者の地に生きながらえているうちに届きました。今ごろはあの世への一歩を踏み出しているはず、と思っておりましたが、先日も申し上げたとおり、熱も下がり、幸いに主の昇天祭まで生きのびることができました。が、それ以来、風邪を引き、具合が悪くなってきました。それで私は、天父の慕うべき甘い抱擁に少しずつ近づいています。御父の胸に安心して永久に安らいたいと希望しながら。こうして、私について取りざたされたいろいろなことも、辻棲が合うことになりましょう。… 聖パウロが言うように、「愛は、泣く人とともに泣き、喜ぶ人とともに喜ぶようにさせる」ものでしたら、神がこの私に賜わる恵みのために、母上もひとしお、お喜びになると思います。主なる神が私をまことの幸いに導き、また、この幸いを失うことはない、と保証してくださるのですから。打ち明けて申し上げますが、私は、神のこのいつくしみという広大無辺の大海に沈み、その思いに浸っています。いつくしみ深い神は、つかの間の、軽い労苦ののちに、永遠の休息へと呼び、天の高みから最高の幸福へと招いてくださるのです。この幸福を探すことを私は余りにも怠ってきましたが、神のいつくしみは私の流したわずかな涙の報いを約束してくださいます。神のみ前で生きる者となり、この世では母上のためにしなかったことを、祈りによって天国でもっとよく果たそうとするこの私を死人と思ってお泣きになれば、神のいつくしみに逆らうことになります。ですから、母上には、この神の限りないいつくしみに逆らうことのないようお気をつけください。
私たちは長く離れ離れになっているのではありません。じきに天国で再会し、一つに結ばれて、もう永久に別れることはありません。そして、あがない主を心ゆくまで楽しみ、力の限り主をたたえ、主の限りないあわれみをとこしえに歌うでしょう。人間的な感情があおる一切のことを捨て、神にささげるべき純粋で単純な従順と信仰の思いに素直に自分を開き、神に属するものを喜んで、しかも私たらにとって貴重なものをお取り上げになるときは一段と喜んで、自由に、速やかに神におささげしましょう。神が私たちに与えてくださったものを取り上げられるなら、それは、そのものをもっと確実な所に置き、私たちがよりいっそう望んでいるものをことごとく返してくださるためなのですから、神がなさることは万事よいのだ、と確信しましょう。
母上様ならびに家中の人々が私の死を大きな恵みとして受け取ってくださるように願いながら、このように書き連ねました。どうぞ祝福をお与えください。母上の祝福は、私がこの世の大海原を越えて希望とあこがれの港に安着できるよう導いてくれることでしょう。終わりに、母上にささげるべき愛と深い尊敬を心からお送りし、重ねて母上の祝福を願い上げつつ、筆をおきます。

祈願
主なる神よ、あなたは
私たちの目に光を与え、
私たちの誕生を望まれました。
暗黒のためではなく、死のためでもなく、
心を尽くしてあなたに向かって生きるために、
私たちを創造されました。
それゆえ、あわれみ深く私たちを導き、
善と命とへ回心させてください。
きょうも、いつも、とこしえに。