2月11日  ルルドの聖母

聖母出現についての最初の自伝的物語
(ベルナデット・スービルーの手紙)
私は、他の二人の少女といっしょにガブ川に沿って薪(たきぎ)を拾いに行きました。彼女たちは〔ガブ川に合流する〕水路を渡っていきましたが、泣きだしました。どうして泣いているのか聞きましたら、水が冷たいから、という返事でした。私は、靴を脱がずに渡れるよう水に石を放り入れるのを手伝って、と彼女たちに頼みました。彼女たちは、私も二人と同じようにすべきだ、と答えました。それで私は、靴を脱がずに渡れそうな所はないかと、もう少し先に見に行きました。でも、だめでした。で、靴を脱ぎに洞窟の前に戻ってきました。私が靴を脱ぎ始めたとき、ざわめきが聞こえてきました。牧場のほうを振り返ると、木が全然動いてないのが見えました。靴を脱ぎつづけていると、また同じざわめきの音が聞こえました。私は頭を上げて洞窟を見ました。そして、白服を召した婦人を見ました。そのかたは、白い着物に水色の帯を締め、両足には、ご自分のロザリオの鎖と同心黄色のバラの花が一輪ついていました。
そのかたを見て私は、目をこすりました。化かされているのだ、と思ったのです。ポケットに手を入れましたら、ロザげオが入っていました。私は十字架の印をしようとしましたが、手が額まで上がらず、どうしても下りてしまいました。
示現のかたは、十字架の印をなさいました。そのとき、私の手は震えていました。十字架の印をしてみましたら、今度はできました。私は自分のロザリオを繰っていきました。示現のかたは、ご自分のロザリオの玉を繰っておられましたが、お目は動いていませんでした。私かロザリオを唱え終えると、すぐにそのかたは見えなくなりました。他の二人の少女に、何か見なかったかどうか聞きましたら、二人とも何も見ていませんでした。二人は、何かあったのか、と聞き、どうしても教えて、と言いました。それで、白い服を着た婦人を見たけれども、どなたなのかはわからない、と言い、このことをだれにも話さないよう、二人に申しました。
それから二人は、もう二度とあそこへ行ってはならない、と言い、私も、行かない、と申しました。
洞窟に二度目に行ったのは、日曜日でした。心にせき立てられるようなものを感じたからです。母からは洞窟へ行かないように言われていました。大きなミサのあと、あの二人の少女といっしょに、母に、行かせて、ともう一度願いました。母は、だめだと言い、私が川に落ちはしないか、晩課にあずかりに戻ってこられなくなりはしないか、と心配しました。私は、それまでには戻って来る、と約束し、母もやっと出かける許可をくれました。私は小教区の教会に行き、小瓶に聖水をいただいてきました。洞窟に行ってあのかたを見たとき、振りかけるためです。そして、やはり、あのかたを見ました。聖水をおかけしたので、あのかたはほほえまれ、頭を下げられました。私がロザリオを唱え終わると、見えなくなられました。
あのかたは、三度日にはじめて、話してくださいました。十五日間つづいて来てもらえないか、と言われ、私は、ばい、とお答えしました。また、ことに聖堂を建てるよう司祭がたに申し上げなければならない、ともおっしゃいました。それから、泉のほうへ行って飲みなさい、とおっしやいました。が、泉は見えませんでしたので、ガブ川のほうへ飲みに行きましたら、川ではない、とおっしゃり、泉のある所を指さされました。そこへ行きますと、汚ない水がほんの少しあるだけでした。そこに手をやり、水をすくおうとしても、すくえませんでした。少し爪で引っかいてみましたら、そのあと泥水がすくえました。それを三回は捨てましたが、四回目に飲めました。
それから示現は消え、私は戻りました。十五日問、私は洞窟に参りました。月曜日に一回と金曜日に一回を除き、いつもあのかたはお現われになりました。
あのかたは何度も繰り返して、あそこに聖堂を建てるよう私が司祭がたにお願いしなければならない。泉に行って顔を洗わなければならない、そして、罪びとのために祈らなければならない、とおっしゃいました。
私は何回も、どなたでいらっしゃるのか、お尋ねしました。けれども、あのかたはほほえまれるばかりでした。とうとうあのかたは、両手を下げ、目を上げて天を見つめられてから、「私は無原罪の宿りです」とおっしゃってくださいました。この十五日間に、私に三つの秘密を明かしてくださり、だれにもこれを話してはならない、と言われました。私はこれまで、このおことばを忠実に守って参りました。

祈願
すべての人を愛される神よ、
私たちの弱さを助けにきてください。
無原罪の聖母に記念する私たちが、
聖母の取り次ぎにより、
罪からいやされますように。

(または)
主よ、あなたはへりくだる者を守り、愛し、
彼らに栄光をお与えになり、
また、聖ベルナデッタに忍耐と愛の
驚くべき恵みをお与えになりました。
聖女の祈りと模範に助けられ、
私たちも信仰の道を単純に歩み、
天国であなたを仰ぎ見ることができますように。