5月30日  聖ジャンヌ・ダルク

聖ジャンヌ・ダルク

《わたしのために自分の命を失う人は、それを見いだす》

ジャンヌ調書から

(ジャンヌ・ダルクの弁論と最後のことば)

私の父の名はジャック・ダルク、母の名はイザベルと申します。
私は、家ではジャネットと呼ばれておりました。フランスに来てからは、ジャンヌと呼ばれております。およそ十九歳になります。
私はドムレミ村の教会で、たしか、ジャン・ミネ師から洗礼を受けました。
「主の祈り」と「めでたし」と「信仰宣言」は母から習いました。母以外の人からは、私の信仰について教わったことがありません。
大きくなって物心がついてからは、家畜の世話をしませんでしたが、牧場に連れていく手伝いはしました。
神様のご命令がなければ、私はフランスに参りませんでした。神様のお言いつけですから、そのとおりにしなければならない、と思いました。たとえ父親が百人、母親が百人いたとしても、たとえ王女様であったとしても、やっぱり私は出発したことでしょう。
私の軍旗は白色で、白い麻布製でした。それには「イエズス、マリア」のみ名が書いてありました。私は、自分の剣よりも、この軍旗のほうが四十倍も好きでした。
私は進撃するとき、人を殺さずにすむようにと、この旗をささげていきました。私は、一人も殺しませんでした。
この間の復活祭の週に、ムランの堤防の上にいたとき、あの声がして、「聖ヨハネ祭の前に捕らえられることになる」と言われました。そして、「驚いてはならない。すべてを喜んで引き受けるように。神が助けてくださる」と言われました。
それからまた、「何でも快く引き受けなさい。殉教を恐れてはならない。おまえは終わりには天国に行く」と言われました。
いとも優しい神様、あなたの聖なるご受難をたたえてお願いいたします。もし私を愛してくださいますなら、この教会のかたがたに何とお答えしたらよいのか、お教えください。
〈質問〉―――「あなたは、神の恵みに浴しているかどうかわかるか」。  もし私が恵みのうちにおりませんでしたら、神様が恵みを与えてくださいますように。もし恵みのうちにおりましたら、神様が守ってくださいます。神の恵みのうちにいないことがわかりましたら、私はそれこそ世界中でいちばんの不幸者でしょう!
神様にこのことをすっかりお任せいたします。
〈質問〉―――「われらの地上の教会、教皇、枢機卿、司教と他の高位聖職者に従う身であることを信じていないのか」。
もちろん信じます。私たちの主にこそ、まずお仕えすべきです。
そのことを私の裁き主であられる天地の王にお任せします。
また、神様と教皇様とに嘆願いたします。
ジャン神父様、それが私の死に方ですか。
火で焼かれるより七度も斬首されるほうがましです。 赦しの秘跡と聖体の秘跡をお授けください。
いいえ、いいえ、私は異端者でも離散者でもありません。良いキリスト者です。
イエズス、イエズス……

祈願
主よ、聖ヨハンナ(ジャンヌ)・ダルクの祝日にあたって祈ります。  私たちも、すべてのうちに、すべてを超えてあなたを愛し、主の栄光をたたえて生きることができますように。